私はこれまで10年以上に渡って、バックオフィスの仕事に携わってきました。
特に専門としてきたのは経理の仕事です。
とある会社に、経理課の管理職として就任した時のことです。
その会社では、当初、月次の試算表(会社の成績表)をアウトソーシングで作成していました。顧問の会計事務所さんに外注委託していたのです。
当月の試算表が経営者の手元に届くのは、次月の20日以降でした。
経営者としては社員に会社の進む方向を正しく示すため、いち早く現状を知る必要がありますが、これではあまりに遅過ぎました。
前月の情報(試算表)を基に『今月はこうしよう!』と言っても、既に2/3以上、日にちが経ってしまっているのでは、何の意味もないからです。
機会損失…失った時間はどうやっても取り戻せません。
私が実行したのは、まず試算表作成をアウトソーシングから自社作成に切り替えました。
これによりリアルタイムでの試算表作成ができるようになりました。
次に作成期間の短縮に取り掛かりました。
初期の段階で課内メンバーの業務改善により、10日までに作成することができるようになりました。
最終的には他部署も巻き込み、3日までに試算表を作り上げ、5日の日には経営者会議を開催できるようにまでなりました。
早期に作成できるということは、それだけで競合他社に対してアドバンテージになります。
しかし、この活動ではそれ以外にも効果はありました。
課内のメンバーは試算表の3日までの提出は不可能と思っていました。また、他部署の方々も協力に難色を示していました。
ところが、1人1人の小さな努力の積み重ねによりそれが実現できると、全員のモチベーションが上がったのです。
むしろこれが一番の効果だったとも言えます。
実務として効率を上げることができ、モチベーションが上がったことによって他の仕事の効率化に対する意欲が増したからです。
『企業は人なり。』私が常々、念頭に置いている言葉です。
会社は人が居て、人が動き、人が動かし成り立っている、人の集合体です。
数字では表現されない改善効果を得るためには、『人』に対しての働きかけが重要…と、私自身、改めて感じた事例です。
0コメント